こんにちは、Suketiです。
ヘラルドの音楽活動について報告していくコーナー、「ヘラルドミュージック」。
記念すべき第1回は、ヘラルドの音楽の歴史を語る上で欠かせない、公園でのゲリラライブについて話そうと思う。
すべては、ひとつの言葉から始まった。
さかのぼること数年前──
ヘラルドの中で、突如として「手作りカホン」を作るブームが巻き起こった。
まず断っておく。ヘラルドメンバーに音楽の知識がある者は、ひとりとしていない。
私に至っては、楽譜すら読めない。だが、知識の有無が何だというのか?
音楽とは、心で奏でるもの。
そして、心が震える瞬間こそが、音楽の本質なのだ。
そこに知識と技術の差は関係ないと、、。
――すべての始まりは、kaiのひと言だった。
「俺、カホン作ってみたい。」
カホン──それは、木製の箱型の打楽器。
人は座ってそれを叩くことで、魂のリズムを刻む。
この言葉を聞いた瞬間、私の心は震えた。
「これは、何かが始まる」 そんな確信があった。
そして、我々は何の迷いもなくコーナン(ホームセンター)へと突撃した。
――カホン制作の狂気
カホン制作に取り憑かれた我々は、休みの日になると昼夜を問わず木を削り、組み立て、叩き続けた。
最初は手探りだったが、日を追うごとに技術は洗練されていった。
そして、2台目の制作が完了した頃。
ある衝撃の事実が判明する。
――H氏の誕生日が近い。
この情報を知った我々の脳裏に、ひとつの考えが浮かぶ。
「プレゼントするしかない。」
だが、ただのカホンを贈るだけではつまらない。
ヘラルドの名にかけて、最高にクールなカホンを作り上げる必要があった。
そして生まれたのが──
スピーカー内蔵 & チェーン付きの “究極のカホン” である。
このカホン、ただの木の箱ではない。
内蔵スピーカーによって圧倒的な音圧を実現し、さらに首から掛けられる仕様へと進化したのだ。
両手が自由になることで、叩きながら自由に動き回ることが可能。
まさに、持ち運べるビートマシン。
これをH氏にプレゼントした瞬間、彼は震えた。
「こんなカホン、見たことない……」と。
そして、その直後に事件が起こる。
――GUROからの一通のメッセージ。
「ヴェノーヴァを買って練習してる!」
ヴェノーヴァとは、ヤマハが生んだ新時代の管楽器。
音楽の知識ゼロのGUROが、突如としてこの未知の楽器に手を出していたのだ。
これは……運命なのか?
そう確信した我々は、さらなる狂気に突き進む。
「ウクレレ、買おう。」
衝動のまま、ウクレレを手に入れた。
こうして、カホン・ウクレレ・ヴェノーヴァという奇跡の楽器編成が誕生したのである。
もう一度言う。
我々に音楽の知識はない。
しかし、もはや誰にも我々を止めることはできなかった。
すぐにそれぞれの楽器を持ち寄って公園に集合した。
――そして、我々は演奏した
「聖者の行進」 を。
静かな公園に響く、カホンのリズムとウクレレの軽快な音色、そしてヴェノーヴァの旋律。
そのとき、ふと視線を感じた。
ひとりのおじさんが、微笑みながらこちらを見ていた。
何も言わない。ただ、穏やかな顔で、じっとこちらを眺めていた。
その表情は、まるで「いいぞ、そのままやれ」とでも言いたげだった。
そして、その瞬間、確信した。
「これは、間違いなく音楽だ。」
この日、この瞬間。
ヘラルドの音楽活動は、確かに始まった。